提言
2021.9 奈良県の観光活性化への提言
奈良県の観光活性化への提言年頭所感
令和7年年頭所感令和7年1月7日
令和7年年頭所感
奈 良 経 済 同 友 会
代表幹事 出口 悦弘
代表幹事 中村 光良
さらに、ロシア・ウクライナ、イスラエル・ガザの2つの戦争は収束の見込みが立っておらず、アジアにおける軍事的緊張を高める要因ともなっている。
一方、我が国の経済状況をみると、円安に伴う輸入価格の高騰、物価高、原材料価格の高騰が続いているものの、インバウンド需要の拡大や企業によるデジタル化に向けた取り組みがサービス産業の業績を押上げていることなどから景気は緩やかな回復基調にある。
令和6年の我が国出生数は70万人割れが確実視されており、さらに少子高齢化が進んでいる。こうしたことを受けて労働人口減少の動きが一段と加速し、雇用においては、女性、高齢者だけでなく、外国人の活用を前提とした人材確保の流れがより現実化しており、中小企業においても人材の争奪戦が激しくなっている。
人手不足、人材難を乗り越えて企業が生き残っていくためには、自社の生産性向上が基本となるが、多様な人材を活用するとともにリスキリング、リカレントで従業員の能力アップを図るなど新時代への適応を進めていかなければならない。また、IT化、DXで業務のデジタル化、組織全体の変革を図るとともに、自社製品・サービスの付加価値生産性を上げ、引き続き自社製品の値上げ、賃上げにも取り組んでいかなければならない。
そのような中にあっても、単に機械化、効率化に走るのではなく、働く「人」一人ひとりが持つ可能性に焦点を当て、企業において「人」が果たす役割や「人」の価値について改めて見直していきたい。
一昨年にコロナが明けて次第に笑顔も戻ってきている。4月からは大阪・関西万博が開催されることで、本年は人の動きが活発になることが期待される。我々は「人」を大事にする経営で笑顔を絶やさない、心がワクワクする地域を築いていきたい。
当会では、例会、委員会活動などを通して経営者として企業や社会のあるべき姿について学習し議論を重ねているが、本年もより良い社会、より良い奈良県をめざし、提言を行い行動する同友会として活動を続けていく所存である。
本年の具体的な考え方及び活動内容は、下記のとおりである。
記
1.人口減対策を考える
奈良県の人口は、約131万人(2022年)で、ピークの約145万人(1999年)から23年間で14万人余り減少している。率にして約1割の減少で、そのスピードは加速傾向にある。地域活性化のためには、地域の人口が維持され、地域の賑わいが保たれることが必要であり、人口減をいかにして食い止めるかが大きなテーマとなる。人口減対策においては、将来を担う子どもをいかに増やすかが問われるかもしれないが、子どもをつくる、つくらないは基本的には個人の価値観に基づくものであり、子どもの存在だけに過度な期待はできない。人口減対策では、行政の果たす役割が大きい。男女の出会いの場の提供、子育て・介護の支援(育休、介護休暇の推進)、不妊治療などできめ細かい支援施策が望まれる。一方、地域の魅力づくりも欠かせない。有力企業の県内への誘致、さらに人材バンクの提供で、県内事業所と求職者とのマッチングをおこない安定的な県内雇用をはかることで、より住みやすく、より働きやすい奈良県にしていかなければならない。また、学校教育においては子供たちの地域に関する学習機会を増やし、地域への関心を育て、シビックプライドを醸成していくことを求めていきたい。
我々としても、ただ行政に委ねるだけでなく行政とともに地域にかかわっていきたいと考えている。これまでも、育児休暇、介護休暇については女性だけでなく男性も取りやすく働きやすい職場をつくることには取り組んできたが、さらに人口減の抑制について民間の立場で何ができるかについて、今後調査研究、議論を重ねていきたい。
2.地域連携を軸に地域経済活性化
奈良県は大阪、京都など主要都市からの道路、鉄道のアクセスが良く、しかも地価も比較的安価であり、産業立地としての潜在力は大きい。産業集積ビジョンに基づく適切な都市計画の整備で計画的に産業集積を形成していくことが期待される。地域経済活性化のために、産地ブランドの構築を模索しつつ地域内企業の連携、強化のあり方を探る。同業種内や同地域内の企業の横のつながりを重視し、役割分担を担い、共同研究や共同事業を行うなどの関係をつくり、地域としての競争力強化を図る方策を示していきたい。
現在、奈良教育大学と奈良女子大学が統合して設置された奈良国立大学機構では、大学、地方自治体、経済団体、県内企業などが連携して地域活性化に取り組む産地学官連携プラットフォームが活動しており、引き続き当会もこれに参画し、地域経済の活性化に貢献していきたい。
3.奈良のブランド価値を考える
奈良県の観光入込客数は令和元年に4,500万人とコロナ禍前まで順調に増加、令和2~4年のコロナ禍でいったん減少したものの、いま再び復調してきている。インバウンドも以前の賑わいを取り戻している。奈良県の観光の課題については、これまで数々の議論が行われてきた。それらを集約すると、①日帰り中心(滞在時間が短い)②観光消費額が少ない③観光客が県北部(特に奈良公園)に集中している、となるのではないか。
これらの課題を解決するには個々それぞれに取り組みが必要となるだろう。ただ、そうした対症療法的な施策だけでなく、奈良の観光、特に奈良の持続的な観光活性化を図るためには、奈良のアイデンティティあるいは奈良のブランド的価値などをもう一度振り返って考える必要があるのではないか。
奈良には確かに他府県にない魅力がたくさんある。しかし、観光客にそれが何かを感じてもらえなかったら、「大仏」と「鹿」という定番的な奈良観光で終わってしまい、宿泊するもしくはリピーターになる動機にはつながらないだろう。たとえば、町並み、食、宿泊施設、生活文化、まちの景観など、まち・地域全体を貫く「伝統と文化」が感じられるような奈良にしかないブランドを築き上げていくことが必要ではないだろうか。奈良の根源的な魅力とは何なのか、それをどのように発信すればよいのかについて改めて考えてみたい。
4.将来の奈良県経済の基本となる道路インフラの整備
将来の奈良県経済の発展の基本となるのは、道路インフラの整備であるが、奈良県の国道および県道をあわせた道路整備率は全国平均約61%に対し奈良県は約34%(全国最下位)と遅れている。県内移動の快適性や時間の短縮は奈良県の長年の課題であり悲願でもある。働く場所の確保のための企業誘致や県南部への観光周遊、奈良県域を巡る観光の魅力づくり、東西の物流や防災のために、県内のスムーズな交通体系の整備・構築が是非とも必要である。
現在、奈良県を南北に貫く京奈和自動車道については、全線の早期開通が待たれるところであるが、それに加えて県内のその他一般道路についても整備改善が求められる。県内のミッシングリンクの解消や道路拡幅、信号系統の整備等により県内の総合的な交通体系の整備が進められることについても引き続き要望を重ねていきたい。
5.その他
大阪・関西万博は本年4月から大阪夢洲にて開催されるが、そのもたらす経済波及効果への期待は大きく、会場に近接する奈良県にとってもいのち輝く未来社会における新たなビジネスチャンスが生まれることを期待したい。観光面ではインバウンドだけでなく国内客にとっても奈良観光をアピールする絶好のチャンスであり、当会としても万博を契機として奈良の魅力提供の機会を増やし、今後の奈良観光活性化につなげていきたい。令和8年10月には、当会は奈良市において、西日本地区の17の経済同友会会員が一堂に会する第123回西日本経済同友会会員合同懇談会を開催する。奈良を舞台にして講演会、シンポジウム、懇談会、エクスカーション等を実施する予定。西日本各地の経済同友会会員が参加し交流を図るとともに、奈良の魅力を提供し地域経済への波及効果をねらう。参加人数(予定)は500名。現在、同懇談会実施に向けて実行委員会を立ち上げ準備を進めている。 奈良経済同友会は、上記の事項を踏まえ、本年も引き続き、奈良県の地域活性化に向けた活動を行うとともに、サステナブルな奈良県構築に向けた社会及びビジネスのあり方に関して研究および発信を進めていきたいと考えている。
以上
その他
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